もへ地蔵 By BOSS
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CAST
もへ爺さん(たかいのもへじ) 孝子婆さん(MUSIC LIFE) 地蔵1(BOSS) 地蔵2(今井和男)
地蔵3(ウニ) 地蔵4(クマ) 地蔵5(石井清一) 地蔵6(Smokey Okawa)
友情出演
餅売り(呉竹の前のおばさん)・アフタービート・長泉町・横浜市赤レンガ倉庫・ヤオハンピュアー・三島製畳野村畳店
堀田さん・赤いトラック・野村畳店・静岡新聞社・ランワールド
ベルジュ・KABU・その妻・ヤマサホール・GMF・竹内佳文・持田浩昭・町田義彦・グリコキャラメル(男の子用)
池田病院・白い鳩・SMOKE・平野君・ハードオフ・矢崎電線…製作所・ホロタチェーン・NTT Docomo
イモ欽トリオ・西山浩司・スタンハンセン・グレムリン・マギー四郎・コーストFM・大岡駅・五福星・フォークリフト・吉田拓郎・穴久保さん
mini stop ・井上陽水・桑マン・VISTA・ここんちの奥さん・ジョンポールジョーンズ
ヴォーダフォン・チョロQ・EPSON PM-2200C・杉山さん・やましょう酒店
沼津港観光案内所 ・CSN&Y・瀬戸さん・エリッククラプトン・プレイヤー・オバQ・パリーミキサントムーン・山一蒲鉾店・鈴廣カマボコ
検査の増田君・松前漬・土肥金山・シュアーSM58
もへ地蔵 第1話(貧しい夫婦) 投稿者:BOSS 投稿日: 4月18日(日)12時28分6秒
昔々長泉町のあるところに、もへ爺さんと孝子婆さんが住んでいました。
二人はとても貧しかったのですが、それでもいつもインターネットなどやりながら楽しく暮らしていました。
「婆さんや、このあいだのaBライブは良かったね〜
今井さんがシッカリ弾けばちゃんと音楽になるもんだねぇ〜」
「そーですね、お爺さん! 成功か失敗かは今井さん次第ですよね…」
「そうそう! BOSSはもともと“ながれいし〜”だし、
オラッチェウニさんは気分屋だけどたまたまゴキゲンだったし、
クマ夫さんはズボン短かったけど演奏はカッコよかったし、清一さんはB♭出来たし!
婆さんも良かったよ、柱の陰でVTRには映ってなかったけど…」
「そーゆーお爺さんだって♪落陽の時はBOSSより声が出てましたよ!」
「BOSS、気ぃ悪くしてないかな〜?」
「大丈夫でしょっ! ところで…笠を売ってくるんじゃないの? この物語」
「そーだった! やべー、笠作ってなかった(^^;」
「あんたさー もうすぐお正月が来るのにウチにはお餅がないんだよ!」
「ハイ、ハイ わかりましたよ!」
「ハイは一回!」
「今から笠を作ってる時間ないから婆さんのストラトを売ってくるよ!」
「これは高価なものだからヤ〜〜〜だよ! それより自分のギターを売ってくれば?
その変なWネック…」
「ダメっ! これは横浜の赤レンガ倉庫で使うんだもん」
「横浜まで行って売ってこなくたっていいじゃん! 例えばヤオハンピュアーの前とか…」
「コンテストで使うんだよっ! それに長泉はBOSSのナワバリ… 店出せないよ」
「ふぅ〜ん… 何でもいいから売ってきてよ! 帰りに呉竹の前でお餅買ってきてよっ!」
「ハイ、ハイ わかりましたよ!」
「ハイは一回!」
孝子婆さんに背中を押され、もへ爺さんは雪の降る庭先に出ました。
そしてリヤカーに三島製畳で作った畳を6枚載せて狩野川楽市に出掛けました。
もへ地蔵 第2話(狩野川楽市にて) 投稿者:BOSS 投稿日: 4月21日(水)00時12分56秒♪どこまでも青い空 キラキラ輝いていつになく上機嫌 地球に座ってる〜
「へぇ〜、ここが有名な狩野川楽市か…昔BOSSとかウニ・クマがライブやった場所だ!」
リヤカーから畳を降ろしながら辺りを見渡すもへ爺。その先にひときわ目立つ赤いトラック。
恐る恐る近づいてみると静岡リサイクル協会と書かれた赤い旗を持った男が声を掛けてきた。
「こんにちは、お爺さんフリマに参加ですか?」
「うん(^-^) 」
「ここは楽しい広場ですよ! 素敵な音楽も聴けるし良く売れるし」
「ふぅ〜ん… (^.^)b ところで堀田さん、あの赤いトラックは何ですか?」
「あれ! どーして僕の名前がわかったのかなぁ〜 (^o^;」
「その首からさげた名札に書いてあるし…」
「(;^_^A あれはランワールドって会社のキャンピングカーなんですよ」
「まじッスか?」
「うっそぴょぉ〜ん!」
「( ̄〜 ̄)ξ」
「ゴメン…! ステージカーです。 これはホントです m(__)m」
「どーだか…」
「もへ爺さん、気ぃー悪くしないで〜…! 良い場所を差し上げますから」
「よくワシの名前が分かったねぇ〜」
「旦那〜、19日の静岡新聞のコラムで見ましたぜ!鳥肌もんのプレーじゃないっすか!」
「いやぁー… ワシの中の“もへじ”が一人歩きしちまって少々戸惑ってるんじゃ…」
「構うことないからガンガン行った方が良いんじゃないっスか?」
「うん… やれるとこまで試してみる」
「そりゃそ〜と… 何か売りに来たんじゃ…?」
「そーだ! 売上金で餅を買って帰らなくちゃ… 孝子婆さんに叱られる (^o^;」
慌ててリヤカーから6枚の畳を降ろしたもへ爺。急いで売りに入る…!
「♪畳ぃ〜 畳ぃ〜 冬暖かくて、夏涼しい、日本人なら畳だよね〜」
こうして、もへ爺の店が開店しました。
もへ地蔵 第3話(売れた畳と246) 投稿者:BOSS 投稿日: 4月21日(水)23時18分51秒楽市は大変にぎやかでしたが、雪のせいでしょうか?
誰ももへ爺さんの畳を買ってはくれませんでした。
「おやおや、これでは餅を買えないじゃんね…!
やっぱり雪の青空市で畳を売るってのは無理があったかな…?」
当たり前である! もへ爺はあきらめてリヤカーに畳を積み込み始めました。
「お爺さん、畳を一枚売ってくださいなっ!」
「マジっ? 悪ぃ〜ねぇ〜 m(__)m」
「ボク、富士市で美容室やってるんだけど… スタッフ控え室がゴザなんで辛いんだ〜(^o^; 」
「ふぅ〜ん、ダセーじゃん…! 気の毒だからくれてやるよ。
どーせ今日は売れないと思ってたから…」
「ナイスなのだ〜!」 「ありがトウッ!ございます〜もへもへ」
一見、少年のようなカリスマ美容師だが、どうやらギックリ腰らしい…
車に畳を積んだのは女房であった。
「さてと… もう売れそうもないし、雪も降ってきたし、帰るとするか!」
重い畳を積んだリヤカーを引き、もへ爺は旧246を長泉に向かって歩き始めました。
「おっ! ここはヤマサホールじゃないか。 むかしGMFのコンサートをやった会場だ!」
とっ、その時だった! もへ爺の目の前に見たことのある3人組。
「もしかして… あなた方は…?」
「竹ちゃんでぇ〜す!」「モチモチでぇ〜す!」「マッチーでぇ〜す!」
「凄ぇー! 町田BANDだ! もへもへ でっ、何してるんスか?」
Tシャツの袖を肩までめくり上げて竹ちゃんが答えた。(冬なのに…)
「三人で想い出してたんだ! 昭和55年12月21日を…
あの頃の俺たちはBOSSの言いなりでさぁ〜 高校生BANDのコンサートでセッティング係やらされたよな…」
「オレなんか写真係だぜ!」 口をへの字にして町田が喋った。
「それならまだイイじゃん! オレなんか“鈴木収一郎と沼津ユニオン”って即席BANDに
入らされて高校生BANDの前で歌謡曲を弾かされたんだぜ!」
「持田さん、そんなことやらされたんスか?」
「青い珊瑚礁・別れても好きな人・ダンシングオールナイト他だぜ… ダセ〜」
「でも、そんな下積みがあるから現在の町田BANDがあるんですよね? もへもへ」
「んなこたぁ〜ねぇ〜だろう! ところでリヤカー引いて何処に行くの?」
もへ爺は3人に事情を話した。 3人は一緒に長泉に行くと言い出した。
「懐かしいな〜、BOSSの家に行こうよ!
きっと昔みたいにグリコのキャラメルを一人ずつ買ってきてくれるよ(^-^)」
てなわけで、サウンドに行き詰まった町田BANDの3人はBOSSから元気をもらう為に
もへ爺のリヤカーを押して旧246を北進して行きました。
もへ地蔵 第4話(もへ爺たちの寄り道) 投稿者:BOSS 投稿日: 4月22日(木)23時18分17秒
「あっ! ちょっと止まって〜」 リヤカーを押していた町田義彦が叫んだ。
「どーしたの? バリウムでも出そう?」 と、もへ爺がふり返る。
「バリウム? 今日は飲んでないよ! 今日、バリウム飲んだのは収ちゃんだよ」
「へぇ〜 それじゃぁー 今頃大変なコトになってるね」
「何でも、腹の中で鳩がケンカしてるみたいらしい… もうすぐ白い鳩が出てくるって言ってた」
「幸せを運ぶ鳩だね(^-^)チョコバニラのミックス状態だったりして…(^o^;」
「汚ねぇ〜なぁー でっ、どーしたの…?」
義彦は持っていたノートPCで町田BANDの掲示板を見た。
「やっぱり… jazzfuzz さんの投稿によると、25日(日)に沼津の「SMOKE」でライブがあるみたいよ !
平野君の“♪鯉のぼりあられJAZZ”が聴けるらしい… オレもギター買って練習しなくちゃ!」
「でもこの辺りには楽器屋さんはないよ…!」
「ばかだなぁ〜竹内、ハードオフがあるじゃないか!」
リヤカーを自動販売機の前に停めて4人は店内に入って行きました。
「いらっしゃいませぇ〜↑」 変にハキハキした女性店員の声、流れるハードオフのテーマ
およそ日本語が通じそうにない客層、差別をされたラッピング、4人はそれぞれお好みのコーナーに進む。
義彦は奥のギターコーナーの左端、浩昭はカーオーディオ、もへ爺はジャンクギターコーナー
そして佳文は… やっぱりビデオコーナーの左端
「なんか… とんがったギターばっかりだなぁ〜 行こっ!」
自分勝手な男である。 でも佳文はしっかりビデオテープをゲットしていた。
突然もへ爺の携帯が鳴る ♪真赤に燃えたぁ〜 太陽だぁからぁ〜 歌入りである。
しかも非通知であった!
「はい、もへ爺です。 どちら様でしょうか?」
「あたしだよ あっ・たっ・しっ 孝子! いつまでフラフラしてんのよ! 餅は買ったんだろうね…!」
「うっ、うん… 買ったよ(^o^)V 今、急いで帰るところ…」
「あたし今収ちゃんちにいる。 御家族がみんな餅好きだから早く持ってきて〜」
「了解!」 急にメールで返信した。しかも無題で…
「皆さん、収ちゃんちに行きましょう!」
さらに雪が強く降る… ハードオフからまっすぐな道を4人の男たちがリヤカーを飛ばす。
「ここを左に曲がるとクマ夫さんちだね!」
「そんなコトいいから急ごう!」
長い直線道路が終わり、嘘みたいな突然の右カーブにさしかかった…
とっ、その時だった!
赤い矢のようなマークの工場の前、雪に埋もれた6つの塊。
しかも、それらは人間らしき形をしている…!
「お地蔵様だ!かわいそうに… 雪をはらってあげよう!」
もへ爺がさり気なく地蔵3の手の部分の雪をはらいのけた。
「クっ、クっ、クリームパン!!」
もへ地蔵 第5話(赤い矢の前で) 投稿者:BOSS 投稿日: 4月25日(日)22時57分37秒チョンマゲ頭の地蔵3… なんと手はクリームパンのように腫れ上がっていた!
台座に座右の銘が彫ってある。
『 アナタ ココロ レイゾウコ ネ! コーディネイトは、こーでねーと 』
「オラッチェウニちゃんじゃん! しかも全然座右の銘じゃないら」
他の地蔵にもそれぞれ特徴があった。
地蔵2はイモ欽トリオの西山浩司のような顔をしている。座右の銘は
『 \^]./::k,;`:,\./,\./l:;l;.k♪@?!! 』
地蔵4は釣竿を持ちスタンハンセンのような顔、座右の銘は
『 収ちゃん、いつまでも僕たちを使ってぇ〜 』
地蔵5はグレムリンのように可愛く、座右の銘は
『 B♭できた! 次はD♯maj7だ! 』
地蔵6はちょっとばかし気合の入ったマギー四郎のような顔、座右の銘は
『 土曜日18:00 FM76.7MHz ハーレム・ナイト 』 ←「宣伝だら…!」
「あれ? たしか6つあったよね、お地蔵さん」
あらためて見渡すと確かに6体あったハズの地蔵のうち一番左の地蔵1が消えている。
4人は辺りを見渡した。大岡駅周辺・五福星の店内・歩道橋の上…
とっ、その時だった!
黄色と白のツートンカラーの128番のフォークリフト(2.5t車)が
赤い矢の工場の中を走って行った。
♪人間なんてララ〜ラ ラララ ラ〜ラ 人間なんてララ〜ラ ラララ ラ〜ラ
吉田拓郎のメドレーを歌いながら通り過ぎるフォークリフト。
「ねぇ〜、あのアゴヒモ付きのヘルメットかぶってる運転手って、さっきまでここにいたら〜?」
義彦がみんなに聞いてみる。
「そーだよね… でもあのフォークリフト、トヨタじゃない ( ̄〜 ̄)ξ 」浩昭が少し機嫌が悪い。
もへ爺が運転手を呼び止めて尋ねた。
「あんたさ〜、さっきまでここにいたよねぇ〜?」
「………」
「もへ爺さん? 地蔵に聞いても答えないと思うよ」と、佳文が言う。すると
「そうだ! あのテで試すか… ♪しぼったばかりの夕陽の赤が…」
「落陽!」
「♪浴衣の君は すすきのかんざし」
「旅の宿!」
「♪ボクの髪が肩までのびてキミと同じになったら」
「♪約束どおり町の教会で結婚しようよmmmm」
「歌い出したよこの地蔵!」もへ爺がウケる。
「お地蔵さん、何でフォークリフトに乗ってるの?」
「シゴト! ココ カイシャ! カネ ホシイ! ガンバル! コシ イタイ! ヘルニア!」
「へ〜、大変だね〜! どうなの最近の景気は?」
「ケーキ? ユーベ クッタ! アナクボサン クレタ! ワイン ノンダ! ミンナ アリガト!」
「訳わかんにゃぁ〜?」
「ハナ モラッタ! ナミダ デタ! ミンナ トモダチ! [;:/,.lkk:],\@:/k.,\. 」
4人は地蔵1と一緒に体育座りをして語り始めた。
遠くの山を眺めるように…
もへ地蔵 第6話(家路) 投稿者:BOSS 投稿日: 5月 3日(月)23時51分24秒♪真赤に燃えたぁ〜 再びもへ爺の携帯が鳴る。
「あんたっ! 餅は? (`´)」 明らかに怒りを抑えきれない様子の孝子の声。
「うん… もう少しで着くよ」
4人は大急ぎで赤い矢のようなマークの工場をあとにした。
mini stopの前、歩行者信号が赤になり信号待ちをしているリヤカー。
ふと気が付くと後ろからさっきのフォークリフトが追いついてきた。
「カサ クレ! ハナシガ チガウ! ハヤク クレ!」
「お地蔵さん、実は傘がない…」
「ヨウスイ キョウミ ナイ! ソノ カサ チガウ! コノ カサ!」
「お地蔵さん、カタカナじゃ解らないよ…」
義彦が仲裁に入る。
「もへ爺さん、この畳を差し上げたら?」
4人は急いでフォークリフトのパレットに5枚の畳を載せる。
「イチマイ タリナイ! ドウスルベ〜?」
「地蔵6は要らないら! 若いから」
「地蔵6? あ〜、あのマギー四郎と桑マンをたして2で割ったようなお地蔵さんだね…」「いいら〜?」
思いっ切り三島弁である。
そう言うと4人の“ら〜族”は地蔵1に別れを告げ、収ちゃんちに向かって行きました。
新幹線のガード手前、突然浩昭が右折を提案。
「VISTAの前を通りたくないじゃんね!」
もへ爺さんは焦っていました。
最短距離を選択し収ちゃんの家に到着する。庭には5台の中古車が停まっていた。
地蔵1号と書かれた妙にでかいワゴン、地蔵2号と書かれた廃車寸前のワゴン、
地蔵3号と書かれた趣味の悪いベンツ、地蔵4号と書かれた釣り道具満載の4WD、
地蔵5号と書かれた汚れの目立つ軽ワゴン… しかも、それぞれ屋根に畳が積んである!
♪ピンポ〜ン・ピンポ〜ン
「こんばんは〜、もへ爺です。 ウチのヤツがお邪魔してるようで… すんまそん(古っ!)」
「まあ珍しい! 寒かったでしょっ? 中へどーぞ」ここんちの奥さんが勧める。
その後ろでケースからギターを出しながら孝子が問う。
「あんた、何処ほっつき歩いてたのよ?」
「いやぁー… 町田さん達に会ってさ、ちょっと寄り道しちゃった(^-^;」
「で、何なの手に持ってる三味線は?」
「たかいのもへじの部屋(和室)ってのを覗いていたらWネックを改造して
トリプルネックにしたくなっちゃってさ〜、ハードオフで買ってきた!」
どうやらまた悪い病気が始まったようである。
「いいけどさぁ〜、和製ジョン・ポール・ジョーンズにでもなるつもり?」
とっ、その時突然リハーサル室の扉が開き地蔵1が出てきた!
もへ地蔵 第7話(もへ爺と地蔵1) 投稿者:BOSS 投稿日: 5月 9日(日)23時28分6秒「あれ? ひょっとして… さっきのお地蔵さん?」もへ爺が問う
「モヘジイ(爺) サッキ ハ アリガト オカゲデ ケツ ツメタクナイ」
「いやぁ〜、喜んでもらえて… かえって恐縮ですゥ〜」
リハーサル室から香ばしい匂いが立ちこめてくる… 焼きたての餅の匂いである。
「あんた、何だかイイことしたらしいじゃん?
このお地蔵さんたちがお餅をた〜くさん持ってきてくれたんだよ! ありがたいねぇ〜」
リハーサル室を覗くもへ爺と町田BAND。
囲炉裏鉢の周りに地蔵2・3・4・5が並び餅を焼いている。 何とも奇妙な光景である。
「お地蔵さん、ありがとう…」 もへ爺の頬に涙が流れる。
♪You Got a Mail
突然、もへ爺の携帯に目の前の孝子からメールが入った。
題名 Message from SkyMail
本文 あのね、お地蔵さん達が心優しいアンタにプレゼントしたいんだって…
一旦リハーサル室に入って餅を裏返した地蔵1がふたたびもへ爺の前に来る。
動きはチョロQのウィリーのようである。
「モヘジイ、アンタ ナヤンデル! カオ ニ カイテアル! クジケルナ!」
そう言うと地蔵1はA3で作ったプログラムをもへ爺に渡した。
“ふれあいコンサート” ブレーメンからの贈り物と書いてある。
部屋の中にいる地蔵達が一斉にもへ爺の方に向きを変えた。
「わし、B♭できるよ」と地蔵5
「長いズボン買った!」と地蔵4
「演歌はおまかせ〜」と地蔵3
「真赤に燃えたぁ〜」と歌いだす地蔵2
どうして他の地蔵はカタカナじゃないんだろう… 読み易いからかな ←誰?
「お地蔵さん、これって杉山のオヤジさんのコンサート?」
もへ爺が問うと、地蔵1はもへ爺の手を握り縁側に連れて行って腰かけた。
居間では町田BANDたちがグリコキャラメル(男の子用)を食べながらGMFのパンフを眺めてる。
地蔵1ともへ爺は“天然わら納豆 ふくふく”をつまみながら“自然酒のうすにごり 初雪”を呑み始めた。
「冬季限定ですね! 感激ですゥ〜」と、もへ爺。
突然、地蔵1はもへ爺の肩に手を掛けた。
「モヘジイ、ジンセイッテ ムズカシイナ…! イイコト バカリ ツヅカナイナ…
デモナ イマ イチバン タイセツナコトガ ナンダカ ワカッテレバ ソレデ イインダゼ!
イイコトハ ジカンガ タッテモ マッテイル! キニナルコトヲ サキニ ミツメヨウゼ!」
それからしばらく沈黙が続き、二人は月を眺めていた。
「モヘジイ、アンタガ ダイスキナ スギヤマ ノ オヤジサン ニ エンソウ キカセテアゲヨウ!」
「ワクワクしますね〜 8月24日以来だもんな〜 楽しみだなぁ〜…!」
「ヨシ! ソートキマッタラ リハーサル ダ! ミンナ マッテルゼ!」
リハーサル室では地蔵達が残りの餅を切り餅にしてラッピングしていた。
町田BANDはグリコのおまけでモメていた…!
地蔵1はプリントアウトしたコード譜を地蔵たちに配布した。
「ホラホラ! モチ ヲ カタヅケテ ガッキ ダセ リハ スルゾ!」
もへ地蔵 第8話(髪を切った地蔵1) 投稿者:BOSS 投稿日: 5月19日(水)23時44分43秒「地蔵6がいない…!」と地蔵2
「ヤツは沼津港へ夕飯のおかずを釣りに行った」釣り好きの地蔵4、羨ましそうである。
「あいつは歌わにゃ〜からいいら!」とドラムセットを組み立てながら地蔵3。
何やらギターケースの中を捜している様子の地蔵5。
「どぉ〜したんスか?」もへ爺が訪ねると
「カポがない! 忘れたみたい…(^^;」
地蔵5はB♭が苦手なのでカポタストが絶対必要なのである。
「石井さん(地蔵5)、全部半音上げてAを弾けばぁ〜?」
「あっ、そーか!」
お遊びで合わせてたオープンDチューニングから標準チューニングに変えようとしたその時だった!
プチンっ! 3弦が切れた。
地蔵3が近づいて一言
「タコっ! 何やってるだぁ〜よ!」
「困ったなぁ… これじゃ弾けないや」
「弾いてるフリでいいよ(^^)」 ←陰の声
孝子が何やら捜している。
「さっきからBOSS、じゃなくて地蔵1の姿が見えないんだけど…」
「ん? ホントだ! どこに行ったんだ?」
全員で地蔵1を捜す。
下駄箱・トイレ・フロ・座敷・仏壇・裏のBBQコーナー・近所の瀬戸さんち…
とっ、その時だった!
ウニ、じゃなくて地蔵3の携帯に着信が…
♪チャラ チャラララ ラー(休符)チャラ チャラララ ラー
いとしのレイラじゃん!
「もしもし、地蔵3ですけど」
「あっ、もしもし あの〜 カブですけど〜 今、変な地蔵のカットをしてるんですけど…」
「カット? 地蔵に毛はナイら!」
「それが結構髪の長い地蔵なんだけど、吉田拓郎さんの写真持参で同じにしろって言うんですよ」
「その地蔵って、どんな感じ?」
「どんなと言われても… 穏やかそーにも見えるし、喋り方は拓郎さんみたいし…」
「たぶん地蔵1だな… で、そいつは今何してる?」
「真ん中のイスに座って、プレイヤー6月号を読みながら何かぶつぶつ言ってますよ」
カブが静かに地蔵に近づく
「モヘジ デカシタ! トモダチ! “コノヒト”トモダチ! モヘラッタ モヘラッタ!」 O次郎かい…!
「地蔵1だ! 早く帰るように言ってくれ〜」
「わっかりましたぁ〜 伝えます」 ピっ!←電話を切る音
「お地蔵さん、お地蔵さん、お仲間が待ってるようですよ。カットしたらお帰りになった方が…」
「マダ カエラナイ! レイバン カウ! タクロー ト オナジ レイバン カウ!
ソノアト オダワラ イク! シオカラ カッテクル! ヤキボコ モ カッテクル!」
どうやら地蔵1は、吉田拓郎ヘアーになって機嫌がいいようだ。
こうして練習嫌いの地蔵1の旅が始まったのである。
ん? 今回、もへ爺って出てきたっけ? あっ、少し出た!
もへ地蔵 最終回(帰ってきた地蔵1) 投稿者:BOSS 投稿日: 6月24日(木)00時09分6秒「ただいまぁ〜」 深い緑のレイバンをかけた地蔵が玄関を開けた。
「だ、誰ぇ〜?」
「警察だ! 開けろ〜 じゃなくて… 俺だよオレ! オレオレ詐欺」
リハーサル室から出てきた地蔵2〜5、もへ爺、孝子、町田BAND、その他
「地蔵1じゃん! しかも、カタカナじゃない…」と孝子
「読みやすいですゥ〜」と、もへ爺が感動する。
「増田君がカタカナじゃ読みにくいってゆーもんで(^o^;」
ウニ… じゃなくて地蔵3が松前漬を食べながら近づいた。
「また旅に出てたら! 昔から好きだもんな長距離…」
「うん、いろんなとこ行ってた。土肥金山の入口でもへ爺の写真撮ったり、
地蔵貯金箱買ったり、小田原行って焼きカマボコと塩辛買ったり、
すみやでマイクとポップガード買ったりしてた」
「ふぅ〜ん… 結構いろいろ買ったじゃん!」
「そー、カネが無くなったので帰ってきたのさ〜」
「最近、小田原が好きだら」
「うん、地元は知り合いが多くてねぇ… 収ちゃん発見!なんて写メール送られちゃうんだよ」
「まっ、土産話はあとでゆっくり聞くとして、練習しよーよ」珍しく今井君が切り出した。
♪思えば遠くへ来たもんだ〜 振り向くたびに故郷は〜
♪ウサギ美味しい香貫山 小船 釣り師 狩野川〜 ←違うら!
魂のリハーサルが延々と続く… 何かに引かれてるかのように…
「こんばんは〜」リヤカーを庭先に停めて年配の女性が訪ねてきた。
「あっ、餅売りのおばさん!」 ビックリ仰天(最近使わない)のもへ爺。
「地蔵1からメールがきてね、そろそろ餅が終わる頃だってゆーもんで持ってきてあげたよ」
「ありがたいねぇ…」紅白餅を食べながら地蔵6がつぶやく(いつからいたのだろう?)
キーボードの設定をしながら地蔵1が切り出した。
「今回のライブはベルフォーレ長泉、BOSSの御膝元だ! 失礼のないように…」
「はぁ〜い!」 全員。
「それじゃぁ、もへ爺んちの御祝いを兼ねて紅白餅を食って、そしたらリハしよう!」
時は流れて2004年3月20日のベルフォーレ長泉
ランワールドスタッフのセッティングにブレーメンの音楽隊が合流!
殺風景なホールが続々と届けられる花束で飾られた。
片隅で自作の音源ユニットを確かめる“たかいのもへじ”
立ち位置、エフェクターを調整する“Music Life”
モニタースピーカーの位置を気にする“オラッチェ ウニ”
エフェクターの電源を忘れた“ランワールド今井”
照明の範囲に微妙な立ち位置の“グレムリン石井”
座って弾くのが嬉しそうな“クマ夫”
珍しくセンターを確保した“BOSS”
生放送の直前、そのドラマを見つめる“Smokey Okawa”
ロビーで円陣を組む地蔵1〜5、もへ爺、孝子…それぞれの顔に緊張感が漂う…!
「今日も一日、よろしくお願いします。 ファイトっ!」
「おゥ!」
こうして魂のライブが幕を開けました。
めでたし めでたし!
編集後記 投稿者:BOSS 投稿日: 6月24日(木)00時12分12秒ご無沙汰いたしました。
約一ヶ月… 皆さんの活躍に拍手を送りながら過ごしていました。
健康面でも何かと気になる世代ですね…!
この部屋に集う皆さんは、社会でも家庭でも一番大変な世代だと思います。
もう少し頑張ったらきっと楽になると思いますよ!
その時に健康でいられるように自分を可愛がってあげてください。
Music Lifeさん、もへじさん、Smokey Okawaさん、そして全ての仲間たち…
皆さんの活躍を心から応援しています。もちろん自分自身も…
子供たちのためにも、元気な街にして行きましょう!
ナンテな!
The End
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